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同志社大学政策学部の皆様が一閑張の体験にお越しくださいました

2021年04月03日

伝統工芸 飛来一閑泉王子家一閑張の14代家元 尾上瑞宝です。

 

京都西陣のアトリエへ、同志社大学政策学部の皆様がお越しくださいました。国際協力やSDGsをテーマに研究されている岡本由美子教授と、 岡本ゼミの学生さん5名です。今出川の駅にある同志社大学は、地下鉄で言えばお隣の鞍馬口駅にあります当アトリエとは、お隣さん(?)ということになります。

 

アフリカと一閑張

 

みなさんが研究されているのは、ウガンダ現地の方たちの生計向上だそうです。ウガンダの珈琲農園の農家さんたちと、学生さんたちがやり取りをして、経済的・社会的な地位向上を目指して活動されているとのこと。今回は、ウガンダの現地の方の生計向上のために、 一閑張の手法を使って 何か作れるものがないか、と 模索する一環でお越しになりました。遠いアフリカの国ですが、他人事ではありません。

 

アフリカのウガンダと聞いて、私が思い出すのは、タンザニアです。以前、一閑張を当アトリエへ習いにきてくださっていたタンザニアの小学校の先生がいらっしゃいました。日本にもたびたび訪れた際に、必ず一閑張を習いにきてくださり、私のほうからは、作り方や子供の指導の仕方などを教え、タンザニアに持ち帰っていただいたのです。

 

さて今回は、そんな同じアフリカの、ウガンダという国とのコラボレーション研究のためにお越しいただいたわけです。学生さんのアイディアと、そしてウガンダ現地が必要としているもの、この両方をうまく融合した何かが作れないか、というのが岡本教授の思いを伺って、なるほど、と思いました。日本だけの一方的な押し付けではいけませんものね。

 

ウガンダの場所:

 

初めての一閑張


とはいえ、学生の皆さんは、一閑張が初めてとのことでした。前半は、一閑張の歴史や、どんなものであるかをお話しいたしました。単純に技術ではなく、400年受け継いできた精神が今もなお大切にされていること、お出会いの大切さ、などお話しすると、みなさんにこやかに聞いていただいていたようです。

 

5名の学生の皆さん、それぞれ違うものを作ってみたい、ということで、後半は実際に一閑張を体験していただくことになりました。みなさん、それぞれ個性的なアイディアが生まれました。
・柄付きのお盆
・ギターのピック
・バナナを持ち運ぶケース
・花瓶
・コースター

 

実は、私も昔、バナナを入れるケースを作りたくて挑戦したことがあるのです。2・3歳のころから一閑張で自分のおもちゃ作りをしていた私ですから、もう65年以上。こういった変わったものでも、意外に作ったことがあったりします。話は脱線しますが、バナナって、大きさや長さや曲がり方が、それぞれ違って、決まった形のケースをつくるのってとっても難しいんですよ。

 

はい、脱線しました。体験レッスンでも、よく脱線します。話しだしたら止まりません。

 

話を戻しますと、そんな、みなさんのそれぞれのご希望にできるだけ答える形で、それでも限られた時間内にできることを今日はチャレンジしました。バナナケースだけは色々と検討が必要なのですぐに取り掛かれないため、今日の体験では別のものをつくることになりました。新型コロナ対策のため2部屋に分かれて作業をしていただきました。

 

一閑張体験の流れ

 

みなさんには、天然のでんぷん糊を練るところからスタートしていただきます。作りたいものにあわせて、糊の濃さ・薄さは少しづつ変えていきます。

その後は、作るものによって異なりますが、型どりや準備をしていきます。使う和紙の種類や厚み、色、特性は、作りたい物の数ほど組み合わせがあります。

 

こちらは葉っぱの形のコースターの型どりですね。

 

こちらは花瓶のための型どりです。

 

一閑張体験のメインはなんといっても、紙を貼り重ねる工程です。単に貼り重ねるだけに見えますが、割と個性やその人の物事への視点が反映されるものです。一人一人、進め方も、ミスの仕方も違うんです。だからこそ面白いのです。「一閑張には失敗はないよ」といつもお伝えしています。紙や作品がどんなことになろうとも、修正や軌道変更ができるんです。何事も経験し、失敗を失敗とせずに生きる糧にしながら、そしてトライ&エラーで軌道修正しながら、というのは一閑張と人生の大きな共通点なのです。そんなことも体験する皆さんには学んで欲しい、という気持ちでいつもレッスンしています。

 

こちらは、ギターのピックをつくるため、同じ形の紙を何枚も貼り重ねています。

 

こちらは紙と、西陣織の糸をデザインしています。どんな風になるのでしょう?

 

ざっと流れを早口でお伝えしましたが、この後は、乾かす工程があります。場合によっては、乾いてからまた別の作業を積み重ねたりします。乾いてみないと、実感が沸かないものですよね。乾燥工程には、二日ほど、ものによってはもっとかかりますので、皆さんにはまた次回来ていただくことになりました。

 

乾いて、完成をお楽しみに!

 

岡本教授のお話しの中で、SDGsや環境問題が大きな話題を呼ぶ昨今、プラスチックではなく自然な素材で作る一閑張というところ、またその場にあるものを捨てずに大事に生かしてモノづくりを行う所に目を付けていただいた、というお話しがありました。また一閑張の”こうしなければいけない”がなく、学生さんそれぞれの考えで進めていけることに魅力を感じたとおっしゃっていただき、本当に嬉しく思いました。

 

一閑張体験はこちら

  • 伝統工芸 飛来一閑 泉王子家 一閑張 アトリエ夢一人
    京都市右京区 詳細
    休業日 不定休(営業日につきましては、お問合せください) 14代 尾上瑞宝 TEL 075-203-5012・FAX 075-331-6675

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