2020年一閑張 瑞宝一門の作品展を開催いたしました(京都)
飛来一閑泉王子家の一閑張は、400年前に飛来一閑が考案した、和紙を張り重ね器や生活必需品を制作する技術です。和紙を張り重ねることで丈夫な構造となり、さらに軽いことから非常に重宝されました。また一閑張は、和紙で修理しながら物を大切にしながら使う文化ともいえます。技術と共に、人としてあるべき精神も当時より口伝で伝えられ、現在も、技術及び精神が14代目まで受け継がれています。
江戸時代に徳川家の生活道具を作り、多くの一閑張がつくられ、使われておりましたが、江戸幕府衰退のころから、産業革命とともに、大量生産やプラスチックの出現により、一閑張は衰退の一歩をたどりましたが、昨今、プラスチックの削減などが叫ばれるSDGsの時代となり、一閑張の技術と精神は、文化として見直される時代に入りました。
その技術と精神、文化を伝えるべく、これまで2004年より行ってまいりました展覧会を2020年もぜひ開催したいと考えておりました。新型コロナによって2020年の展覧会は開催できぬものかと懸念しておりましたが、この度、秋の開催を実現することができました。
京都の町家で開催しました
場所は、町家スペースをお借りしました。
京都府京都市中京区衣棚通押小路上る上妙覚寺町230-1
気持ちの良い秋晴れの中、開催することができました。
(御所にて)
会場の雰囲気
一門の展示作品
みなさまによる一閑張作品を多く展示させていただきました。
ごく一部の写真のみ掲載をご了承くださいませ。
講演会も同時開催しました
素晴らしい二人の先生をお招きし、一閑張作品展の会場において、講演会も実施しました。
講演会【冨田先生】
日程:10月28日および30日の2回
演者:元京都大学宇宙物理学教室 冨田 良雄 先生
題名:「京都・一閑張と天文学」
冨田先生には、宇宙のお話しから、一閑張の歴史、京都アトリエ周辺の歴史、まで、時空を超えた内容をうまくつなげていただきご講演いただきました。宇宙の仕組のデモや、吉宗の天体望遠鏡の模型までご用意いただき、理解しやすいお話しでした。また、ネットや机上だけではなく、自分の目で見て、足で歩いて、真実を調べることの大切さを教えていただきました。
講演会【田村先生】
日程:10月31日の1回のみ
演者:滋賀大学国際交流機構特任講師 田村 あずみ 氏
題名:「『不安の時代』の抵抗と、日本伝統文化の精神」
与えられたゴールに向かって決まったレールを歩むことができないこの時代、私たちは自己責任だけでは問題解決できない世界に、不安とともに生きています。一閑張のような伝統工芸の世界に宿る「人とモノ」と対等な対話、指先で考える事が、私たちに大切な事を語りかけます。個性を持ちつつ、つながりあっていく個。ポストコロナの生き方を探るのにふさわしいお話しをいただきました。
謝辞
皆様、このたびは、伝統工芸 飛来一閑 泉王子家 一閑張の作品展にお越しいただきありがとうございました。
感染を考慮しまして人数制限したこともあり、来場者の方々に交流を深めていただくことができ、「楽しかった」「ひさしぶりにゆっくり話ができて良かった」とのお声をいただくことができました。
皆様に喜んでいただくことができ、感謝感激しております。
ご来場いただきました方々、また準備をお手伝いいただきました皆様に、心より感謝申し上げます。
14代家元 瑞宝